鹿子木健の相場学

■最終的に何をよりどころとして決断するのか 後編

前回の続きです。

私たちは、意識するとしないとにかかわらず、毎日、いや毎瞬間何らかの決断を

繰り返しながら生きているということをお伝えしました。

 

さて、トレードでも私たちは決断を繰り返し行っています。

何を決断しているのでしょうか?

エントリーと利食いがまっさきに思い浮かぶと思いますが、それだけではありません。

 

・そもそもトレードをやめないで続けるかどうか

・証拠金はいくらでトレードするか

・トレードをしていることを家族に話すかどうか

・どんなスタイルでトレードをするのか

・どんな情報を得ようとするのか

・チャートを見るかどうか

・どの通貨ペアのチャートを見るか

・どの時間足のチャートを見るか

・トレードする時間帯はどうするか

・毎日するのか、時々するのか

・チャートを見たとき、エントリーするかどうか(見送るかどうか)

・エントリーするならどの通貨ペアでエントリーするのか

・どのタイミングでエントリーするのか(今すぐなのか、待つのか、指値なのか)

・ストップはどこに置くのか

・リミットはどこに置くのか

・損切りはいつするのか

・利食いはいつするのか

・ポジションサイズはどうするのか

・ポジションを持っているとき、継続保有するのか(それとも決済するのか)

・含み益は伸ばすのか利食いするのか

・含み損を損切りするのか、もっと待つのか

・今回得た利益で満足するのか、しないのか(これも決断です)

・(満足しないなら)もっと狙うのか、どうなのか

・損切りに後悔するのか、ネガティブな感情にとらわれないのか(これも決断です)

・未来のことを考えるのか、過去の失敗(と思っていること)を考え続けるのか

・トレードをしていない時間はどうするのか(トレードのことを考えるのか、考えないのか)

・勉強をするのか、しないのか

・収益を増やすために毎日学ぶ時間を作るのか、作らないのか

・トレード記録を取るのか、今日は疲れたから記録は取らないのか

・テクニカルインジケータは何を使うのか

 

まだまだたくさんあります。

 

トレードに関してだけでも、私たちが決断を要することがこれほど多く、

しかも多岐にわたっていることに驚かれる方も多いかもしれません。

これがトレードをする際に、私たちがしなければならない決断の現実です。

 

こうやって、トレードの最中に決めなければならないことを列挙すれば、テクニカルだけで

勝てるとか、手法だけで勝てるとは思えなくなると思います。

テクニカルだけで勝てるはずがないのです。

なのに、それだけで勝てるかのように錯覚してしまうのは、そのテクニカル手法が決断まで

私の代わりに自動でやってくれると思いこんでしまうから。

自動売買(EA)でさえ、設定や、動かすタイミングを決断しなければならないし、

最大ドローダウンの調整は必要ですし、大きく勝ったときや負けたときに

相場環境がどうだったか検証しなければなりません。

 

テクニカル指標は、ただ売買のサインを教えてくれるだけです。

トレードのプロセス全体からみれば、テクニカルだけで解決できることは1割~2割程度だと思います。

あるトレード手法が、上に挙げたすべてのことの決断を助けてくれないならば、

やはり負ける人は負け続けるし、勝てる人は手法とは関係なく勝ち続けるということになるのでしょう。

 

何も決めなくてもいいのは、赤ちゃんだけ。

子供でさえ(という言い方は失礼ですが)毎日、毎瞬間、いろいろなことを決めて、成長していっています。

 

実際、トレードにおいて、エントリーポイントを決めただけでは、何も決めていないのと同じなのです。

何も決めずにトレードするというのは、ただの思考停止。

一方で、毎瞬間、高度な経営判断のような決断が要求されるとしたら、トレードはストレスでしかなくなります。

能力が高い人だけが勝てる世界になってしまいます。

 

だからこそ、資金管理はトレードの土台だと私は何度も何度も強調しているのです。

資金管理によって、決断が非常に楽になります。

決断の基準が明確になります。

 

そして勝ちパターンです。

トレードで勝つためにトレードの一連の要素のパターン化が必要なのは、

バラバラに散らばっている物事を決断していくことの連続から、最終的につじつまを合わせて

成功にもっていくのが至難の業だからです。

それこそコンピュータのような計算能力か、或いは芸術的な才能が必要です。

勝ちパターンとしてパターン化してしまうことで、1つ1つの決断を最小限にすることができ

(それでも決断しなければなりません)、決断と決断がバラバラになることなく、

順序良く決めていけるので、全体を見通せることです。

 

勝ちパターンは、あまり重要でない決断(しかし損益に大きく影響する決断)を最短の時間、

そして最小のストレスで行うことを助けるものであり、その分重要な決断に集中できるようにしてくれます。

重要な決断とは、資金をどのように増やしていくか、というトレード戦略のことです。

私が毎日行っていることは、まさにこのことにほかなりません。

 

そして最後に、表題の件です。

最終的に何をよりどころとして決断するのか。

 

資産を増やす、或いは収入を増やすという目的をもってトレードをしているはずです。

その行動は資産や収入を増やすという目的に合致しているのか、それとも目的からはずれているのか。

そこだけなのですよね。

でも、それが一番軽んじられているというか、そこまで考える余裕がない人が多いです。

だからテクニカルを拠り所として判断し、チャートを拠り所として判断する。

もちろんテクニカルやチャートは大事ですが、道具として大事なだけです。

テクニカルやチャートは私たちの先生ではないし、親でもなければ、上司でもない。

私たちがより良い決断をするために、使いこなす道具です。

チャートが決断を導いてくれるのではありません。

 

 

2020.10.22

鹿子木健の相場学、より

勝ちパターンシグナル

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