鹿子木健の相場学

私がお金教育が必要と考える理由

SOPHIA Asset Management Club(スタンダード)からの転載です。
https://vc.medu.biz/sophiaamcstd/

 

■私がお金教育が必要と考える理由

 

お金教育(金融リテラシー教育)にたずさわるようになって、もう8年ほどになります。

中学校での講演、フリースクールでの授業、農家での勉強会などもさせていただきました。

 

世の中の動きをみていると、最近は、書店に並ぶお金関係の本も増え、

お金について発信する人も増えているほか、

今話題になっている「脱社畜のオンラインサロン」なども目立つようになり、

お金への関心が高まっているように感じます。

 

これは良い現象なのかと問われれば、私には決してそうは感じられず、

逆に、日増しに、今こそお金教育が本当に必要だという思いが強くなっています。

 

書店の本も、特に「お金2.0」からの動きが顕著ですが、

(売れる本を作るというのは優れた能力と戦略があるからこそで、敬服には値します)

そこから、安易に「2.0」と銘打って潮流に乗り遅れる不安を煽りビジネスにつなげていく動きも加速しているように感じます。

 

お金に関する情報や書籍などが増えているにもかかわらず、

お金そのものに対する本質的な理解は進んでいるとは決して言い難いし、

逆に金銭崇拝の強化や、お金という話題をたんなる新たなビジネスの種としてしか見ない現象が目立つように思えてならないのです。

 

お金バブルがはじけると、「やはりお金なんて重要ではない」「お金に関心を持つなんて日本人の美徳に反する」

などという言説がまた幅を利かせてくるような気がしています。

しかも、以前よりも強化されて。

 

今、なぜお金教育が必要なのか、あらためて考えてみたいと思います。

 

1、お金が存在するのは理由がある

お金が存在するのには、理由があります。

お金は降って湧いたものではなく、たまたま人間が発明したものでもありません。

お金という仕組みは、水や空気と同じように、存在理由があり、私たちはその価値を知る必要があると考えます。

お金に無関心でも生きていけますが、豊かに生きていくことは難しいのではないでしょうか。

 

2、人生の悩みはお金、人間関係、健康

昔から言われているように、私たち人間の、人生における悩みは、

お金と人間関係と健康のことだと決まっています。

この三者は有機的に結びついており、お金の状態は人間関係と健康に影響し、

人間関係もお金と健康に影響を与え、健康もお金と人間関係に影響を与えます。

お金は人間関係や健康と同じくらい重要だという意識が必要だと思います。

 

3、お金の概念の認識ができていない

お金と一言で言っても、その言葉の指すものは、一様ではありません。

ある人は「1万円札」を思い浮かべ、ある人は「札束」を連想し、

たとえば小さな子供は「100円玉」を、或いは「お年玉」を、

別の人は「銀行口座」を、「デジタルな数字」を、

別の人は「世の中に流通している貨幣」を、

また別の人は「会社の帳簿」や「給与明細」を、

或いはある人は「賄賂」「軍事資金」「悪い金持ちの顔」を連想するかもしれませんし、

別の人は「幸せな思い出」や「感謝」や「助けてくれた恩人」を思い起こすかもしれません。

 

「お金」という同じ言葉を使いながら、異なる言語を話しているのです。

 

4、お金は有益な学びのフレームワーク

仮にお金が世の中に存在しなかったら、世界は平和になるでしょうか?

私たちの苦しみはなくなるでしょうか?

貧富の差も、戦争も、なくなるのでしょうか?

私はそうは思いません。

 

お金がなくなれば、別のものがお金に代わって新たな悪を作り出すだけだと思います。

お金にはもちろんネガティブな要素もありますし、

お金にからんで様々な権利を蹂躙されている人々がいます。

 

しかし、お金は、私たち人間が、生きていくために必要なことを学び、

与えられたもの、預かったものの管理の仕方を学び、使い方を学ぶ中で、

或いは苦労や苦しみの中から問題を解決したり克服したりする経験の中で、

より成長することのできる大切なフレームワークです。

お金への無関心は、自分の成長の機会を捨てていることになります。

 

5、自分自身の生きる目的や幸せを見つけることを助けてくれる

もちろんお金じたいが人生の目的ではないですが、

「お金は目的ではない」という表現がひとり歩きしている感があります。

お金は目的ではないという美しい言辞でごまかされて、

「お金の目的」を追求することから逃げてしまってはもったいないです。

※「お金の目的」と「お金は目的」の違い、理解していただけますよね?

 

お金という媒介によって、私たちは多くの人とつながり、

お金というものがなかったら決して提供できなかったサービスを提供することで、

より多くの人を喜ばせる、ニーズを満たす、課題を解決するということができるようになります。

 

ボランティアが一番いいわけではありません。

たとえば、「お金」という存在がなかったら、

私は大好きなレストランの店長さんと知り合うこともできなかったわけですし、

その方の志や生き方に共感することもできなかったのです。

「お金」がなければこうしてみなさんとつながることもできませんでした。

大切な友人たちの多くは、お金を通してご縁をいただきました。

お金がなければ、より大きな価値を提供しようという動機もないですし、

家族に対する責任の自覚もできない、人への感謝も小さくなるなど、

お金は見えないところで、本当に大切な役割を果たしていることに気づくのです。

 

その最たるものが、自分の人生の目的を知って、自分にしかできない役割を果たし、

自分の人生を生きていくということ。

人とつながり、人のために生きていくということ。

幸せを見つけて、自分と人の幸せを考えていくということ。

話は大きくなりますが、全世界の人々の幸せを考えていくということ。

お金がなければ、世界の人のことに思いをはせることも、きっとないでしょう。

(もしお金がなくても世界の人のことに同じように関心を持てるという方がいたら教えてください)

 

ああ、お金のおかげであの人にも知り合ったし、

お金のおかげでこの人と一緒に仕事ができるし、

お金のおかげで結婚生活を楽しめている(楽しいことばかりではありませんが)、

お金のおかげで人のお役に立てているのかもしれない。

 

私にとって、お金は素晴らしいものですし、その素晴らしさを共有したいといつも願っています。

同時に、お金が素晴らしくないという問題が世界中にあります。

その問題を解決するのも、私たちの役割、務めです。

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