鹿子木健の相場学

■トレードにおいても需要と供給の原理が働く

需要と供給の原理といえば、経済学では基本中の基本ですし、

相場においても、買い(需要)が大きい通貨は、売り(供給)が大きい通貨よりも強くなるというのは、

ごくごく当たり前のことです。

 

需要と供給は、私たちが経済活動をする上で非常に大事なことである、

それは誰も否定しないと思います。

しかし、需要と供給があまりにも「経済学」としての色彩が濃く人々の脳裏に焼き付いているため、

経済学を越えた普遍的な原則だということに気づかない人も多いようです。

 

トレードではメンタルやマインドセットという言葉がよく使われますし、

技術よりもメンタルやマインドのほうが重要だと言われれば、ああそうなんだなと納得する人も多いと思いますが、

なぜそうなのか論理的に説明できる人はほとんどいません。

また、本来のメンタルやマインドからずれて、スキルを学ばなくてもよい「口実」になり果てている例も見受けられます。

 

「需要と供給というフレームワーク」を使って、メンタルやマインドを説明することができます。

需要とは 購買意欲≒買う必要に迫られている状態≒買いたいという感情 → 欲しい!

供給とは 生産量≒売る必要に迫られている状態≒買ってほしいという感情 → 要らない!

 

みなさんは、トレードでエントリーしようとする際、

自分の中の需要と供給のバランス(需給バランス)をコントロールできている状態でしょうか?

 

・お金に困っている状態

・どうしても利益が出なければ困る状態

・自分はトレード以外に取り柄がないと思っている状態

・毎月の利益目標を達成しなければならない状態

・トレードで失敗したらクビになる状態

 

これらの状態を、「需要過多」と言います。

「欲しい」が「要らない」を大幅に上回っているので・・・

高くても買わざるを得ない、

無理してでもエントリーせざるを得ない、

エントリーポイントを選べない、

待てない、

レバレッジを上げざるを得ない、

やめられない、

止められない(笑)・・・

 

変わらないのは、トレーダーにとって非常に不利な状態であることです。

 

不動産物件にしても、一般の消費物にしても、

供給過多で値下がりしている時、売りたい人が多くて安く買える時に買うのがよいに決まっています。

でもそれができないのは、

「まだ持っていないから」

「それなしには生活できないから」

「値下がりするまで待つための余力が自分にないから」

「値上がりしたら買いたくなるから(笑)」

 

トレーダーの中に、金銭的な欠乏(困っている状態、お金が必要な状態)があると、

需要が大きいということなので、不利になります。

これがマインドやメンタルの正体の一部分です(これだけではありません)。

 

その日、その月のお金に困っていない、

トレードをすることにこだわりを持っていない(トレードしてもいいがしなくてもいい)

そのような人は、需要が少ないので、

価値があるものを安く買えるときにしか食指は動きません。

つまり、相場との交渉が有利になるということです。

有利な条件でしか手を出さないし、その必要もない。

だから、美味しいポイントだけでエントリーできるということ。

 

インプットとアウトプットもまた、需要と供給で考えるとわかりやすいです。

インプットばかりしている人は、需要が大きいということです。

アウトプットをたくさんしている人は、供給が大きいということです。

何ごとも成功するためには、需要過多になってはいけないです。

 

「勝てる手法探し」を続けている人はとてもわかりやすい需要過多なので、

供給者(生産者)にすぐに見抜かれてしまい、手法や商材のカモになっていきます。

 

一方で、供給だけしていればいいかというと、

供給(生産)するためには設備投資、原材料費、人件費、管理費、広告費などにコストをかける必要があるので、

しっかりお金をかけないと、利益が上がりません。

 

大事なことは、自分の中での需要と供給のバランスです。

ドル円の需給バランスばかりに気を取られていないで、自分の中の需給バランスに目を向けましょう。

 

鹿子木健の相場学より

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