鹿子木健の相場学

■ゼロサムゲームの優位性

「ゼロサムゲーム」というと、「誰かが得をすれば誰かが損をする」「価値を生み出さない」という

ネガティブなニュアンスで使われることが多いです。

「ゼロサム」とは、いくら足してもゼロ以上にもゼロ以下にもならない。

合計すると結局ゼロになる、という意味の言葉です。

 

ゼロサムにはゼロサム以上の意味はありません。

良いも悪いもありません。

中立な言葉です。

 

ゼロサムには、悪いニュアンスを被せることもできる一方で、良い側面もあります。

FXトレードでは、このゼロサムの良い点(優位性)を理解しているかどうかは、けっこう重要です。

 

たとえば、株式投資では、国の成長や企業の成長が株価に反映されて、全体として時価総額が増大していき、

市場に参加している投資家全員が利益を得ることも、論理的にはあり得ます(実際にはありません)。

 

しかしFXでは、それぞれの通貨どうしの交換にすぎないため、全体で価値が上がることはありません。

すべての通貨の価値が全く同じだけ上がるなら、相場はピクリとも動かない、つまり固定相場と同じことになります。

何かの通貨が上がれば、他の何かの通貨は下がります。

仮にユーロもドルもポンドもスイスフランも豪ドルも全部上がったとしても、円だけは下がっています(円安相場)。

 

ですから、誰かが利益を得ていたら、他の誰かが損をしている、そんな明確な市場構造になるわけです。

「これが悪い」と言う人がいますが、私はそうは思いません。

ゼロサムほど明確でわかりやすい相場はありません。

 

株式相場は全部上がることもあり、逆に全部下がることもあります。

これはわかりやすい場合もありますが、大抵の場合、全部上がったり全部下がったりする

相場の先行きを見抜くのは高度な知見やスキルが要求されます。

 

対してFXのようなゼロサム相場の場合、どれかが上がればどれかが下がるので、常に一定の法則性の中で動きます。

ゼロサムですから、合計するとゼロになります。

 

ここではわかりやすく説明するために、全世界に存在する通貨が5種類だと仮定します。

通貨A、通貨B、通貨C、通貨D、通貨Eです。

通貨Aが3%上昇、通貨Bが2%上昇、通貨Cが-1%下落、通貨Dが0%で動きなし。

この場合、通貨Eはどうなりますか?

 

通貨ABCDの値動きの%をすべて足すと、3+2-1+0=4 +4%ですね。

相場はゼロサムですから、すべての通貨を足せばゼロになります。

つまり、残っている通貨Eは-4%の下落です。

 

【 3+2-1+0-4=0 】

 

ゼロサムを見抜くために、私は毎日28通貨ペアを観察しています。

どれかが上がれば、どれかが下がる。

外国為替市場はシーソーゲームだからです。

 

通貨の種類が多くなると複雑になるように感じるかもしれませんが、本質は同じです。

どれが上がるか予想する必要がない。

景気が良くなるとか、業績がどうなるとか、インサイダー情報だとか、まったく必要ない。

なぜなら、全部上がることもないし、全部下がることもないから。

 

こんなにわかりやすい相場はありません。

 

誰かが得をしたら誰かが損をする、それもゼロサム相場の特徴です。

外国為替市場は残酷ですよね~。本当にそうですか?

まったくそんなことはありません。

 

全国大会やオリンピックで優勝するために、チームメートの足を引っ張ったり、蹴落としたりする必要はありません。

競争相手は他に居ます。

 

輸出入企業、各国政府、ファンド、年金基金を相手にするだけで、十分勝つことができます。

SOPHIA FXコミュニティ内で競争する必要がないので、全員が勝てるように助け合うこともできます。

 

もちろん、デイトレーダーが負けてくれるせいで、より大きな利益を得ることができるという側面はあります。

そういう意味では、ゼロサムはどうかという気持ちもわからなくはないですね。

 

 

2019.7.27 鹿子木健の相場学より

▼ソフィア FXの詳細はこちらから▼

ソフィアFX

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です