鹿子木健の相場学

■少額の証拠金でハイレバ? 証拠金を増やしてローレバ?

よくまことしやかに語られることに、

①「スイングトレードはハイレバレッジにできないから増やせない」

②「スイングトレードではまとまった証拠金がない人は稼げない」

③「デイトレードはハイレバレッジにできるからたくさん稼げる」

④「デイトレードは少ない元手でもハイレバレッジにして稼げる」

というようなお話があります。

 

つまり、お金のない人はデイトレをしないと意味がない、

スイングトレードはお金のある人でないと効果がない、

そんな主張です。

 

デイトレードを教えている人やデイトレードの商材を売っている人がそう言いたくなるのもわかります。

仮に私がデイトレードの魅力を伝えなければならない立場だったとしても、やはりそんなことしか言えることがないと思います。

 

①~④までの主張は、全部ウソです。

困窮している人や欲にかられた人の心をつかみやすい主張ではありますが、論理的に破たんしています。

 

「スイングトレードでは稼げない」という①②については今日は必要ないと思います。

③④について、これらがなぜ論理的に破たんした考えかを整理したいと思います。

 

デイトレでハイレバにすれば少額の元手で大きく稼げるという考え方をもっとわかりやすく表現すると、

「少ししかお金のない人は大きな賭けに出ないと一発逆転できない」ということです。

正しいように聞こえますが、違和感がありませんか?

 

そこには自分自身がありません。

 

自分がいくら必要か、どのくらい稼ぎたいか、自分の資産をどうやって増やしていくか。

あるのは、「経済的自由を獲得しお金に困っていないだれか」「トレードだけで巨万の富を築いているどこかのトレーダー」

「毎月何百万稼いでいるとセールスページで紹介されているだれか」

すべて他人です。

 

架空のだれか(実在する人物だったとしても)と比較させて、自分は足りない、自分はお金がない、

自分は恵まれていないという思考にさせる。

そういう人たちと同じ経済力を手に入れるか、逆転するには、少ない元手しか出せない自分でも可能性のある方法を取るしかない。

普通に働いたり、トレードでゆっくり増やすのでは間に合わない。

だからリスクが高かったとしても高いレバレッジをかけてポジションを持つしかない。

スイングでハイレバレッジにすると知らないうちに証拠金が飛んでしまう可能性があるので、相場の成行をじっと凝視しながら

利食いしたり損切りしたりできるデイトレがよい。

・・・という流れになるのは、自然の帰結です。

 

これは自分で考えているというよりも、そのような考え方に誘導されているというほうが正しいと思います。

そう、むしろ、思考停止です。

 

そもそも、「少額の元手で多くのリターンを得る」ということの本質を知るべきです。

少額の元手で多くのリターンを得る・・・その本質は2つです。

1つ目は、ギャンブル。

2つ目は、保険。

 

ギャンブルが悪いと言っているのではありませんので誤解のなきよう。

少額の元手で、多くのリターンを得るために必要なのは、賭けです。

ギャンブルは、少ない元手でできます。

負けても、最悪、その元手を失うだけです。

その代わり、勝てば、何倍ものリターンを得られます。

 

合法であればギャンブルはしてもいいですが、資産を増やすためにギャンブルをするというのはそもそも何かおかしいですよね?

収入を増やすためにギャンブルをするというのもヘンです。

楽しむためであるならわかります。

 

元手は少なくて済みますが、それを失う確率が高いのですから、お金がない人でもギャンブルならお金持ちに負けないくらい

稼げる、などと考えるなんて頭がどうかしています。

 

典型は宝くじです。

数百円の元手で、数億円を稼げる(可能性がある)。

「貧乏人は宝くじしか人生逆転の方法がない」などと本気で考えているなら、いつまでたっても這い上がることなど不可能です。

 

なぜ、できるところから、努力して少しずつ増やしていき、ある時には運も味方につけて身の丈を越えずに

大きく増やすのではいけないのか。

最初は少しずつでも、時間がたって気がつけば収入や資産が大きく増えているものです。

ギャンブルに身を投じてしまうと、「稀に」一発逆転するケースもあるにはありますが、何年たっても何十年たっても

そのまま(むしろさらに悪くなる)人が大半です。

 

次に、小さな元手で大きなリターンを得ることの本質の2つめは「保険」であるということです。

保険は、小さな掛金で、大きなリターンを得ることができます。

しかしそれは、命を失った時、火災で家を失った時、大けがをして手術や治療が必要になった時、障害が残った時、

誰かに損害を与えてしまった時など、起こって欲しくないことが発生した時に得られるリターンです。

 

誤解を恐れずに言うならば、保険の「掛金」とギャンブルの「賭金」は同じ読み方ですが、意味も同じです。

悪いことが起こるほうに「賭けて」、それが起こった時にリターンが得られるように「掛け金」を投じているからです。

保険業界で「賭け金」などという言葉をつかったら都合が悪いので「掛け金」としているだけです。

 

保険は相互扶助のギャンブルです(悪い意味ではありません)。

私も保険に入っていますが、負けても悔しくないギャンブルだといつも思っています。

自分の賭け金が、困っているだれかの助けになるわけですから。

 

オプション取引におけるプット買いも、ギャンブルであり保険です。

同じ意味です。

適性な掛け金(賭け金)なら、ギャンブルとしても悪くないと思いますし、自分の金融資産のリスクヘッジのために

良い保険になることがあります。

 

しかし、これを資産構築や資産形成の柱にするというのは、違和感があります。

「少額の元手に高いレバレッジをかけてデイトレードすれば金持ちになれる」と信じてデイトレに励んでも

金持ちになれないのは、至極当然のことだと思うのですが、それを伝えるのはなかなか難しいものですね。

 

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